東洋経済オンライン佐々木亮祐記者の記事「ふるさと納税「争奪戦」が終わらない深い事情:総務省が12市町を名指し注意、従わぬ理由は?」にコメント協力しました。
私のコメントは、ふるさと納税を全国ぶっちぎりの1位で135億円を獲得した大阪府泉佐野市に同情的なものになりました。
コメントの背景を少し詳しく紹介すると次の通りです。
2006年に北海道夕張市が粉飾決算をやらかし財政破綻したことで、2008年に地方財政健全化法が作られました。簡単に言えば、企業決算の本社だけをチェックしていたものをグループ連結決算までチェックするようになったわけです。新法のチェックで意外にもイエローカードを食らったのが泉佐野市でした。将来負担比率という物差しに引っかかりました。
大阪のベッドタウンである泉佐野市は、一般的に人口も十分あり、住宅や事業所からの固定資産税もたっぷりある、財政力のある都市自治体です。関西空港開港に伴って、対岸であるりんくうタウンとその周辺部の事業用地・住宅用地開発を土地開発公社で実施しました。大阪伊丹空港が閉鎖になれば、物流も人の流れも関西空港に一元化される見込みだったからです。関西財界の方々が大阪伊丹空港の利便性を捨てられなかったため、泉佐野市の当ては外れました。
イエローカードを突きつけたのは総務省、そして財政力のある泉佐野市には財政危機のレッテルを貼るばかりで直接的な支援は行われませんでした。実現はしませんでしたが、ペット税導入構想や市の名前を売るネーミングライツ公募など、ありとあらゆる手段で歳入確保を目指しました。
総務省がふるさと納税返礼品を規制したがる動機には、地方自治体間の財政調整を行う地方交付税制度が既得権益としてきたことがあります。ふるさと納税のように勝手に自治体が競争して歳入を確保するのは、総務省としては好ましくない事態です。
関連記事:返礼品に指摘受けた泉佐野市が反論 野田聖子総務相が不快感示す
http://news.livedoor.com/article/detail/15370369/