年度末の「研究成果」にご注意!

「東京大学地震研究所が東京直下型地震が起きる可能性が4年以内70%と発表」なんて見出しが新聞各紙、あるいはニュースサイトを賑わした。でもちょっと待って欲しい。この時期に発表される「研究成果」には隠されたメッセージがある。

そのメッセージとは、「来年度の研究費くれー」だ。

その意味では、話半分に聞いておいた方がよい。特にスタッフを抱えている理系の研究プロジェクトがこのような時期にこのような「研究成果」を発表する傾向が強い。マスコミが喜んで記事にしてくれそうなネタならなおさらである。来年度の研究費が確保されなければ、4月から路頭に迷ってしまうスタッフがいるからだ。公的研究費の審査も佳境に差し掛かっている時期とも符合する。

マスコミだって半信半疑ながら記事にしている面もあるのだと思う。真に受けているとしたらお馬鹿だ。いわゆるマスコミが持っているコメンテーター有識者リストだけではなく、その分野の研究者に客観的なレビューをしてもらわなければおかしい。有識者リストにいる一定数はマスコミに迎合的なコメントしかしない人々で、予定調和的な賛否コメントをしてくれるだけだ。

以前、東工大の学長選を見ると最近でも時々あるか、研究費の預けという不正行為が横行していた。業者に割高な請求書を発行させて、実質的に研究費をプールする仕組みだ。これも単年度で研究費の継続が不透明であることから起こったものだ。そもそも論を言うと、研究振興予算が増えないのに、文科省が形式だけの競争を強いたために、割り当てられるべきところに割り当てられない事態を招いている。博士ワーキングプアみたいなのが発生する理由はここにある。

結論として、この時期に発表されるインパクトのある「研究成果」にはご注意!というお話。