毎年変わる「国税庁・確定申告書等作成コーナー」
最初に所得税の確定申告をしたのは学生時代だった。アルバイト代は100万円にも満たないのに源泉徴収税額に記載があって、確定申告すると還付されるということを知って、税務署に行った記憶がある。それ以来、もう20年も確定申告を自分でやっている。今の学生らにも確定申告するとお小遣いが増えるよとか、勤労学生控除という働きながら勉強している見上げた学生に103万円+27万円の控除があるから、パートのおばちゃんらと103万円の壁で悩まなくて良いよとかの話をすると、全く知らなかったという反応をされる。
この10年くらいの間に、国税庁ホームページには「確定申告書等作成コーナー」が開設されるようになって、確定申告書の作成がとても楽になった。最初は源泉徴収票を握りしめて、手書きの確定申告書を当番税理士さんに手伝ってもらいながら書き上げたものだ。最初は作成した確定申告書を郵送する程度で、OCR読み取り用の四隅の■が印刷されるように気をつけたり、今から考えると不毛なインタフェースだった。さっさと入力されたデータをそのまま使えば良いのにと思ったものだ。eTaxが始まって、公的個人認証の仕組みと連携して電子申告が可能になった。本人確認という意味では意義深いが、税務署に郵送する確定申告書の場合は全く本人確認されていないことを考えると、やたらとハードルを上げすぎだ。
さて、「確定申告書等作成コーナー」は毎年のようにユーザインタフェースが変わる。そして、実は申告期間の途中でもユーザインタフェースが変わることがある。もちろん改善されるのに来年まで待たなくて良いわけだから歓迎すべきことだ。ちなみに昨年の前半期間では、源泉徴収票イメージに社会保険料を入力しているのに、申告表イメージに社会保険料控除が反映されないというバグがあって苦労した。
今年のユーザインタフェースでいただけないのが、雑所得(その他)入力欄だ。左端に種類、名称、場所という項目が並んでいる。5件くらい入力してから気づいたのだが、名称欄に場所、場所欄に名称を入力してしまっていた。これは、報酬支払調書の書式が場所、名称という順番だからで、その意味ではミスを誘いやすいフォーマットになっている。他にもいろいろと昨年までとは異なるユーザインタフェースがあって、入力例を見返さないと正しく入力できないものがいくつかあった。毎年の税制改正で、単純に同じフォーマット同じユーザインタフェースというわけにはいかないのだろうが、ちょっと混乱を招くように思った。改善もなされていて、入力する必要のない欄がグレーアウトされたりといった工夫は好ましい。