朝日新聞が「得点操作で「不合格」の50人、入学容認へ 東京医大」という記事を公開しています。気になるのは、この50人を入学させたときに東京医大の定員管理はどうなるのか?来年度入学の入試受験者に影響は出るのか?ということです。結論から言えば、来年度入学の入試倍率に大きく影響しそうな方法が検討されています。
東京医科大学医学部医学科(医師養成)の入学定員は120名、収容定員は720名(6学年分)となっています。しかも留年者がいるため、今年度は748名が在籍しており、収容定員超過状態になっています。
https://www.tokyo-med.ac.jp/med/enrollment.html
全国の医学部定員は厳格に管理されています。日本の医療費が伸びる要因を分析すると、地域の高齢化要因などよりも医師数や病床数が大きくなっていることが知られています。そのため政府は1980年代から医師国家試験の受験資格につながる医学部入学者を制限して、医師数がむやみに増えない抑制策をとってきました。入学定員を超過しないように、各医学部に対して求めてきたのです。
風向きが変わったのは医師不足による「医療崩壊」が叫ばれてからで、2008年度以降医学部臨時定員増を認めてきました。医学部の新設も、2016年度に東北医科薬科大学(東北薬科大学から改称)と2017年度に国際医療福祉大学に医学部が設置されました。現時点で、全国の医学部の入学定員は9420人になっています。ただし、2017年に政府が発表した「骨太の方針」では、臨時定員増を医療需給に応じて見直していく方向性が示されました。
東京医科大学が受験生に迷惑をかけたからといって、従来の入学定員や収容定員に上乗せして入学させられる道理はありません。文部科学省・厚生労働省と所管官庁も認められる話ではありません。朝日新聞の記事はログインして読める全文があり、最後の一文は重要な内容が記述されています。
https://digital.asahi.com/articles/ASLBT2HYYLBTUTIL009.html
入学希望者の数によっては、来年度の一般入試の募集人員を減らすことも検討する。
つまり、入学定員120名から得点操作で不合格だった最大50人が差し引かれた残りの合格枠を、来年度入学予定の受験生は争うことになります。こんないい加減な入試をする医学部は志望校から外すと考える受験生ばかりでは無く、今度は男女差別や浪人差別はされずに済むだろうと考える受験生もいたはずです。入試倍率がまったく読めない激戦の入試になりそうです。本当に罪深いのは辞任した大学経営者たちです。