フィリピン高校留学のススメ(2)

次女が高校留学を考えるようになった理由を書く。私自身は留学経験は無い。今でこそ年に何回も業務出張やら家族旅行で海外に出るが、初海外は24歳の時、大学院の指導教授が夏休み中にスウェーデン訪問するから同行するか?と誘われたのが初めてだった。ある意味、もっと早くから海外を経験しておけば良かったと思ったからこそ、子どもたちを小さい頃から連れ出していた。

フィリピン・セブには次女が中2と高1のときに連れて行った。大学の学生研修に混ぜてみたのだが、何とか通用していた。現地の高校生と触れ合うプログラムもあって、セブには良い印象を持っていたようだ。

次女は国立東京高専の情報工学科に進学した。彼女にはロールモデルがいて、グローバル企業でエンジニアとして働き、子育てもしている女性だ。英語で仕事をするエンジニアになることがキャリアの目標だった。高専は大学編入や専攻科の後に大学院進学を目指すには良い進路だと当初は考えていた。説明会でも留学を積極的に勧める話もあったので、ベストの選択だと当時は思った。

しかしながら、独自の留学プランを相談したときに高専の教員に誰一人として親身になってくれる人はいなかった。高専にとって留学とはお仕着せの2週間の研修旅行のようなもので、一年間という長期に渡って英語力を本気で修得しようとする留学を単位認定する手間を引き受ける人はいなかった。リケジョ歓迎、国際的に通用するエンジニア養成のうたい文句とは裏腹に、本気でグローバルに活躍するエンジニアを養成するつもりが無いのがよく分かった。それが1年間留学後に留年生として復学するつもりだった次女を、高専中退、留学先での現地校卒業に向かわせた。

余談だが、次女の従兄弟が国立東京高専の説明会に参加したときに、高専はとんでもない説明をした。国際的に通用するエンジニア養成のプロセスで留学もできます、現に2年生でフィリピンに長期留学している学生がいますと、明らかに事実と異なる話をしたそうだ。高専の対応に幻滅して中退した学生がまだ在籍しているかのような不誠実な話に開いた口がふさがらなかった。

次女を高専中退させる過程で気付いたのは、全国の国立高専が高専機構という元締めがある組織に再編されたことで単体で融通が効きにくい、変化に柔軟に対応できない組織になってしまっていることだ。踏み台にして羽ばたける人材なら気にしないのだろうが。