オンライン授業のメモ(3)

合理的配慮のための字幕表示

嘉悦大学は障害学生を受け入れている。履修登録の段階で、2名の聴覚障害学生が私の科目を選択するという連絡を受けた。昨年度は、各教室のAVコンソールの配線を分岐し、UDトークという音声をテキスト化するアプリに接続するためのキャンパス改修を行った。聴覚障害学生が履修する科目では、大学がアルバイト料を支払うノートテイカー学生が2名ずつ配置される。

オンライン授業でも、ノートテイカー学生が聴覚障害学生につく。Google ClassroomとYouTube限定公開講義動画がベースにあるので、比較的利用しやすい形式だったと考えている。zoomでの質疑応答に関しては、授業開始直前の次のツィートが目に入り、そうか字幕をこのようにつけられるのか!と気づいた。

Windows PCに配信用ソフトOBS Studio+OBS-VirtualCam、Scrcpyを(元の構成でVysorが使われているが無料時間制限があるので)Androidタブレットとの接続用にインストールし、Androidタブレット側ではGoogle音声文字変換アプリを使った。

iOSつまりApple製品のUDトークだとzoomに字幕を直接流せるようになったそうだが、アンチApple信者なので私の選択肢にはならない。

OBS StudioはYouTuberのライブ配信などに使われているが、初めて使ってみた。Webカメラからの映像を縦長にクロップし、背景画像は研究室の本棚、Scrcpyのキャプチャ画面は背景を透明化して不透明化した四角の上で文字を浮きだたせる、質疑応答開始前にチャットに質問を送るように指示する画面をシーン切り替えで用意するといった工夫をした。こういうことをやり始めるといくら時間があっても足らない。

字幕合成映像を作成した配信画面

zoom側ではビデオソースの選択で、OBS-VirtualCamを選択してやるとOBS Studioで作成した画面構成で表示される。なおzoomの画面共有だと参加者全員に全画面で映すことができるが、今回はホストのビデオなので3人以上が集まった段階でホストのビデオ画面の詳細から「スポットライト」を選択してやると、いわゆるスピーカービューがホスト固定になる。単なるスピーカービューだとミュートし忘れた参加学生がいたときに一瞬フォーカスを奪われてしまう。

Google ClassroomからのCSV書き出し

大学からは出席状況の把握について、今年度は念を入れた要請があった。今年度からは「高等教育の修学支援新制度」が始まったからだ。支援対象となる学生の学修状況が問われている。出席常であることを記録に基づいて示さないと、学生を守ることができない。もともと大学の学則の懲戒規定では、出席常でない学生が対象になっているように、出席するのが当たり前だ。だからこそ「出席点」はあり得ない。私自身も、教室でいつも顔を見かけるのに定期試験の出来が悪い学生がいるとがっかりする。お前は何を聴いていたんだと。

zoomライブ授業なら、参加学生の名前をチェックして出席を記録することができるだろう。私のようにハイブリッド型で実施し、zoom質疑応答は任意参加としていると参加学生の名前をチェックする方法はとれない。そこで、Google Classroomに質問(講義内容に関連したり、履修上の注意を再確認したり、評価対象外の内容を選択式で回答)を設けるようにした。当初、講義資料などと同じタイミングでアップしていたら、フライング回答してしまう学生があとをたたず、事後対応をメールで問い合わせてくるという事態が発生したため、授業開始10分前に予定公開するやり方に改めた。

通常の課題と同じくCSVファイルで書き出してダウンロードすることができる。このファイルをWindows PCで扱おうとしたときに文字コードの問題が発生する。Excelで開こうとすると文字化けする。ClassroomはUTF-8を使っていて、Excelではデータタブのテキストデータ読み込みで文字コードを指定してやる必要がある。現在はテキストエディタで一度開いて文字コード変換してからExcelで開きなおす手順にしている。これを関数など使って整形して、学内LMSの出席管理に一括登録している。例えば火曜日午前2コマ230人分の出席記録も10分以内に登録が完了する。

成績評価に無関係だと宣言しているにもかかわらず、出席記録に間に合わなかったことを悔やむ学生がいる。そういうコミュニケーションコストいらないから、提出期限が到来していない課題をさっさと提出してくれというのが教員の本音である。

ちなみに出席記録に回答した学生数と講義動画の再生回数が一致しない。再生回数の方が少ない。どうしてなのか?動画を再生せずに課題だけやっているのか?課題の解答を共有しているのではないか?と疑心暗鬼になる。とある学生から、「彼氏と一緒に観てます!ときどきお友達カップルも来て一緒に観てます!」と聞いて、リア充乙という感想。

(続く)