ミャンマー民主化は誰の幸せ?

ミャンマースーチー女史が日本政府の招待で来日した件、ミャンマー現職大統領より優先するとの意思表示だったのだろうか?もちろん京都大学留学など日本との関係が深いし、ノーベル平和賞受賞者という様々な要素はあるにしても。

ミャンマーの民主化の象徴としてアウンサンスーチー女史の役割はこのまま続いていくのだろうか? かつての軍事独裁政権が良かったとは決して思わない。 このまま民主化が進む中で少数民族の声が大きくなり多数派と対立した場合、その結末はどこにあるのだろうか?

中東や北アフリカで民主化が進んで選挙で多数をしめるのがイスラム原理主義勢力だったというようなケースがある。革命的な政権交代を果たしたエジプトはイスラム原理主義国家になるかの岐路に立っている。少数民族が10を超えるミャンマーも別の意味で民主化は不安定さを生むだろう。

ミャンマーでは山岳民族で長らく反政府ゲリラをやってきたカチン族への弾圧が続いている。今年はじめには政府軍は空爆作戦まで実行している。イスラム教徒の少数民族との対立も伝えられている。隣国タイでも仏教徒とイスラム教徒の対立は激化する傾向にある。あるテレビ番組ではスーチー女史が少数民族の自立独立について口をつぐむようになり、軍部とも距離を縮める現実路線に舵を切ったと報じられた。

CNN: Myanmar airstrikes on Kachin rebels raise global concerns
http://edition.cnn.com/2013/01/03/world/asia/myanmar-kachin-violence

スーチー女史は現実路線をとって大統領に選ばれれば民主共和国をミャンマーに建国するのだろうか?おそらく難しいだろう。唯一希望があるとすれば、日本あるいは中国からの直接投資を受け入れて、各少数民族の地区に平等に経済発展の恩恵を与えることだ。みんなを満腹にさせて文句は言われまい。なお英国籍の息子がいるスーチー女史は現行法の下では大統領選に出馬できない。

東南アジアは、ラオス、マレーシア、ミャンマーと未だ行っていない国がある。ANAが成田-ヤンゴン直行便を開設しているので、是非一度訪れてみたいと思う。しかし、ミャンマーへの期待は6千万人の安価な労働力かつ市場である。もう発展途上国を卒業しようとするタイ、そして大国中国の近傍にあって、工業・農業で自立独立できるかが心配される。それは何度か訪れたカンボジアについても感じたことだ。

紀行ムック本のTRANSIT第20号はミャンマー特集だった。ジュンク堂書店吉祥寺のランキングでも上位に来ている人気で、ミャンマーに行きたい気分を盛り上げてくれる。いつ行くの?今でしょ!というわけにいかないのが残念なところ。