「大学生の就活事情2018(1)」からの続き
読売新聞が「大学の実力」調査及び特集記事を2008年から始めたことで、各大学は数字でのエビデンスで勝負せざるを得なくなりました。大学関係者としては、
「バンカラ」「お坊ちゃん・お嬢さん」「面倒見の良い」とか、ふわっとしたイメージで受験生を集められたら楽だったりします。読売新聞は、各大学の4年間卒業率や中退率など、大学にとって不都合な数字を明らかにしてくれました。もちろん、数字があまりにもヤバすぎて回答しない大学もあります。
本務校は数字がヤバいのにしっかり回答する大学です。(汗)
文部科学省が毎年5月1日時点で行う「学校基本調査」があります。入学者、卒業者の人数把握をはじめ、就職率もここで把握されます。ほとんどの大学が対外的に公表している「就職率」は学校基本調査に回答した数字です。これは[就職者数/就職を希望した卒業生数]で計算された数字で、分母からは就職希望者以外は除外されます。ここで除外されているのは、家事手伝い、帰国(留学生)、アルバイト(卒業して5月1日にフリーターだとここに分類)などです。各大学は軒並み90%以上の結果を公表しています。
業界紙・情報サービスの「大学通信」が「学校基本調査」を元に算出している「実就職率」があります。これは[就職者数/(卒業者数―大学院進学者数)]で求められます。つまり、卒業しながら進学しなかった人を分母に入れてしまうもので、大学によっては50%前後にまで転落してしまうかもしれません。留学生は日本企業の初任給に納得せず、母国での就職を希望して帰国してしまうケースが増えています。留学生比率の高い大学には不利な数字が出ます。
企業にとっても大学生にとっても、大学の就職率は全体の傾向を教えてくれるだけです。個別企業の採用プロセス、大学生の個別要件が、個別具体的な内定者を生み出します。うちの大学は就職率が良いから、平凡で差別化できない俺も就職できるはずだ、とはならないのです。