受診抑制で医療機関がやばい

社会保険診療報酬支払基金という保険者と医療機関をつなぐ保険医療の要とも呼ぶべき特殊な法人があります。ここが毎月の診療報酬請求などの統計情報を公表してくれています。2020年8月3日、診療報酬請求(5月分)の公表がありました。

https://www.ssk.or.jp/tokeijoho/geppo/geppo_r02.html

受診抑制が強まった結果、対前年同月比で件数75.8%・金額87.6%でした。このままでは地域の医療機関全体の経営難が懸念されます。

3月以来、対前年同月比、件数ベースで88.0→77.1→75.8%、金額ベースで98.0→89.8→87.6%という推移となっています。主に子どもたちを示す「被扶養者」がさらに落ち込みました。当時、公立学校は休業を続けていた時期に符合します。さらに、高齢者の調剤が100%超となる一方で医科診療の受診件数・金額は低くなり、いつものクスリの処方箋が長期で出ていると解釈できます。

新型コロナでの病床不足が懸念される一方で、地域の診療所や病院といった医療機関の経営難による閉業をどう防ぐかを考えなければなりません。

参考までに4月分の診療報酬請求の表も載せておきます。

https://www.ssk.or.jp/tokeijoho/geppo/geppo_r02.html

4月分では、まだ高齢者の医科診療はそれほど落ち込んでいませんでした。5月分では高齢者すら受診抑制が強まって医科診療が落ち込む事態になっています。

新型コロナ対策の最前線でがんばってくれている病院スタッフのボーナスカットが一時期話題になりましたが、そもそも受診してもらう出来高での診療報酬が入ってこなければ医療機関の経営が成り立たない仕組みを直撃しています。