オンライン授業のメモ(8)

Google Classroomの限界と改善提案

ブログメモしてきたオンライン授業の方法の中では、「Google Classroomでの遠隔授業」や「Google Classroomでのテスト付きの課題の落とし穴」などを取り上げてきた。クラウドにあって、クライアントである学生がアクセス集中してもサバ落ちしないというメリットは特筆すべきことながら、総合的なLMSというよりも小中高のクラス単位が想定された設計ということもあり、100人以上の大学講義で使うのは想定外だったのかなという限界が見られた。

  1. 人数×課題が一定規模を超えると「すべての成績をCSV形式でダウンロード」できずにタイムアウトしてしまう
  2. 「採点」タブは後から追加されたUIなので、そこから「すべての成績をCSV形式でダウンロード」はできず、個別課題の成績ダウンロードのメニューからしかできない
  3. 提出された課題を採点しているとき、限定コメントで短評をつけようとすると学生に即時通知されてしまうのだが、スコア返却前だと提出物のアクセス権限が学生に戻ってなくて焦らせる
  4. CSV形式でダウンロードすると文字コードがUTF-8になっていて、Windows PCで扱おうとすると文字コードをShift_JISに変換する必要がある
  5. テスト付きの課題を出題するとき、編集中に誤ってGoogleフォームを削除してしまうと添付で追加しようとしてもNG
  6. テスト付きの課題で、チェックボックスの自動採点ルールをカスタマイズできないので、5個のうち3つの正答をチェックさせる問題では1つNGだとスコア0になってしまい、部分点があげられない

トラブル報告と改善提案

「すべての成績をCSV形式でダウンロード」しようとするとタイムアウトする件、60人×26課題はダウンロードできたが、127人×15課題、108人×15課題はタイムアウトして502エラーが表示されてNGだった。また、昔のGoogle ClassroomのUIは「ストリーム」「メンバー」タブしかなかったのが、現在は「授業」「採点」タブが追加されている。「採点」タブはかなり無理して表示している印象を持っていて、完全に表示されるまでに時間がかかる。それだけではなく、各課題の詳細ページからしか「すべての成績をCSV形式でダウンロード」が指示できない仕組みになっている。採点結果はダウンロードonlyにして、人数が増えても確実にダウンロードできる仕組みと、文字コードShift_JISでダウンロードできる仕組みに改善してほしい。

テスト付き課題のGoogleフォームは自動採点できる項目は自動通知しているが、学期末〆切にしている課題は採点期間にまとめて作業することになる。その作業は評価の一貫性が大切なので、深夜にまで及ぶこともある。このとき、課題に短評コメントすると学生に即時通知されてしまう。メール通知などを切っていれば良いのだが、遠隔授業のときの習いで課題を通知するようにしている学生も多い。結果的に短評された課題を見ようとアクセスするのだが、課題のスコア返却前にはアクセス権が学生に戻っていないために、教員にアクセス権要求の連絡が五月雨式に届くことになる。限定コメントは課題スコア返却時にまとめて通知するように改善してほしい。

Googleフォームのチェックボックス採点ルールのカスタマイズは、いくつか設定できるとありがたい。
(1)全問正答で得点 (1′)全問正答で得点から誤答減点
(2)一部正答に部分点 (2′)一部正答に部分点から誤答減点

課題を採点する段階になって、既存のLMSの課題管理に提出された課題をダウンロードして採点してコメントするというやり方よりもGoogle Classroomの課題採点の方がコメントフィードバックしやすい印象を受けた。欲を言えば、課題で解答に含めるよう指示したキーワードをハイライトしてくれる機能とかあると、採点補助で助かると思ったり。

秋学期もほとんどがオンライン授業になる見込みで、春学期に試行錯誤した経験は確実に秋学期に生かせる見込みである。一方で、Google Classroomに限らずLMS全般に限界はあるわけで、どう克服して学生に良い教育を届けられるか改善を検討していきたい。

オンライン授業のメモシリーズはいったんここで完結としたい。

(完)