東野圭吾『マスカレード・ホテル』


★★★★☆
作家生活25周年特別刊行3部作の完結編になっているらしい。東野圭吾『マスカレード・ホテル』読了。先に読んだ『麒麟の翼』よりも伏線の回収の仕方は素直ですっきり、職業柄の「常識」にとらわれる登場人物の描き方も好ましい。

犯人の残したメッセージによって、あるホテルが次の殺人事件の現場になることが分かり、刑事達がホテルマンに扮装して潜入捜査することになった。受入側のホテルスタッフは「警察の常識」に振り回され、一方の刑事達も「ホテルの常識」を理解するため悪戦苦闘する。誰が犯人なのか、誰が狙われるのかさえわからない事件を防ぐために相互に理解を深めようとする登場人物たちの前に、とても個性的な顧客が現れて…

これを読んで思い出したのが、日本の一流ホテルのサービスの話。旅先で着古したシャツを捨ててくるなんてことは個人差はあるだろうが私もやることがある。捨て方を間違えるとホテルに保管されてしまうのでご注意という話だった。ゴミ箱にきちんと入れてあれば捨ててもらえるが、ベッドの上やデスクに放り出したままだと廃棄すべきか判断できないので、忘れ物として保管されてしまうという。宿泊した秘密を守るため、ホテルから自宅へ忘れ物を連絡することもしない。