Made in Italy, by Chinese Workers から考える移民労働者問題

ロイターが伝える2013年末の記事がある。
憧れのイタリア製品が現地で中国人労働者によって作られているというお話。

Insight: Italy’s Chinese garment workshops boom as workers suffer
http://www.reuters.com/article/2013/12/29/us-italy-sweatshop-insight-idUSBRE9BS04D20131229
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別に詐欺だ、民族差別だなんて言い立てたいわけじゃなくて、日本の地方のもの作りの考え方、移民労働者の受入についてのヒントがあると言っておきたい。

日本のもの作りが衰退した理由は、少子高齢化・人口減少で国内で買ってくれる人がいない、国際比較で高賃金であるため中国や東南アジアに工場を移転した方が安上がりという構造問題があった。もちろん輸出する場合だって、人件費の安い消費地に近い国外で生産する方が有利だ。

しかし、中国や東南アジアの人々、特に購買力のある富裕層は「日本製」にとても期待している。キヤノンのデジカメをお土産にしようとしたら、日本製ではないことに落胆した海外からの訪問者を何人見たか。親戚分も含めて、日本製炊飯器を何台も購入していく旅行客もいる。

「日本製」は立派なブランドになるし、地方のもの作りも市場開拓を海外に求めれば安売りしないもの作りができるかもしれない。それは日本人の手でも移民労働者の手によるものでも、品質管理さえできていれば「日本製」として売れるはず。既に中高卒向けのもの作り職人という仕事が日本からは消えてしまったので、地方にもう日本人の手は残っていないけれども。単純労働や高技能の移民だけ入れるといった区分は役立たなくて、資産も教育も職もない日本人がレイシズムに走るという未来が透けて見えるのは心配している。

社会保障制度設計の基礎となっている将来人口推計は随分前から移民労働者受入れを前提にしている。団塊ジュニア世代がアラフォーになった時点で、人口減少の逆転の可能性は無くなったので、不可避の施策だ。政府の検討会で有識者から提案があり、安倍政権としては正式に取り上げていないとの声明もあった。歴代政権が先送りしてきたことを、いつ正式に取り上げるつもりだろうか。