経済学者は待機児童解消に役立つか?

小池百合子都知事小池百合子都知事が鈴木亘・学習院大教授を保育政策のブレーンにしたという報道に接して、暗澹たる気分になっています。
※雑誌プレジデントは私の寄稿を3月、6月と掲載しましたが、思惑に隔たりがあったためか8月は鈴木亘氏に依頼しました。

以下、ツィまとめで私の考えを。

鈴木亘氏が保育事情を理解せずに、既得利権かのように扱うのには理由がある。経済学は市場がうまく働くことが効率(無駄なく資源配分できるという意味の専門用語)だという前提に立つ。だから、市場がうまく働かないとき、行政直接でなく、所得再分配(子ども手当)で買える資力をつけさせるべきと。

経済学者のほとんどは行政直接サービスは非効率で悪だと信じている。かつての電電公社や国鉄然り。民主党政権のときのブレーンたちは、次世代育成の恩恵は将来の社会保障財源に貢献するのだから、子ども手当を充実すべきと論陣をはった。急進的な人は年金財源でも良しと。でも夢破れたのは周知の事実。

私が保育料の応能負担(所得に応じて)を強めろと主張するのは、かつかつの自治体財政において膨らみ続ける保育関連予算の助けになり、一人でも多くの待機児童解消につながれば良いとの考えから。経済学者の中では異端の主張になっている。普通は同じランチ食べて値段違うのおかしい(応益負担)。

子ども手当で、都市部の0歳児の保育料を実費ベースで現在の自己負担を除いて賄おうとすると、生活保護世帯で月額40万円、最高額所得層ですら月額30万円の支給が、現行通りなら必要になる。待機児童にも同額となれば、とりあえず申請してみる世帯が増えて、財源はまったく足りなくなる。

待機児童解消を保育料一律値上げでやろうとしても東京都には決められない。保育料設定は各市区町村の決定事項だから。対象は都認証保育所くらいで効果無し。反対に大盤振る舞いで東京都に保育士を集めると周辺自治体が大迷惑という事態に陥る。

潜在保育士の復職研修を無料どころか、交通費・休業補償(他でパートしてたり)を出して、復職決定時には支度金も出してやるとか、持論のオフィスビル一棟丸ごと保育所を増やすとかが、待機児童解消に役立つと考えている。

潜在保育士が復職をためらうのは、待遇面だけでなく、責任の重さとブランクから。復職研修を座学3日、現場実習2日くらいの一週間コースにして、交通費・休業補償を修了時に5万円、復職支度金(復職6ヶ月後でも)に30万くらい、どうだろう?