待機児童解消のマイルストーン(2)

認可保育所の規制緩和
保育所不足が問題化したのは昨日今日ではなく、1990年代からの長い経緯があります。認可保育所の運営主体は市町村直営か社会福祉法人に限定されてきました。規制緩和により株式会社による運営が始まったは2000年10月の「葛西駅前さくら保育園」が全国初の事例です。その後、公設民営型の保育所が広まったり、全国にチェーン展開する上場企業まで登場しています。

公立保育所を社会福祉法人に譲渡するなどの民営化も進行しています。老朽化した公立保育所を建て替える場合の財政負担は重く、民間事業者が建て替え民営化すれば「次世代育成支援対策施設整備交付金」による補助を受けられるのも地方自治体が公立保育所の民営化を進める理由の一つになっています。

公立保育所では公務員保育士が働いています。報酬体系が年功序列の公務員の場合、どうしても入所児童一人当たりの保育費用は人件費を反映して高コストになってしまいます。結果として、0歳児を1ヶ月預かるのに80万円かかるといった状況が生まれていました。規制緩和による民営化は人件費コストを抑えて、保育所定員という量を拡大することに貢献しました。

ここであれ?と気づいた方は鋭い!

昨今、保育士の低賃金や処遇改善が話題になっているのを知っている方は民営化により人件費コストを抑えようとしたことを奇異に感じるかもしれません。その話はまた別の回で説明します。