東京電力の値上げと消費税増税の共通点

接点の無さそうな二つの問題の共通点は、上げれば増収になると単純に考えていることだ。電気料金10%値上げして10%増収するなんて価格弾力性はあり得ない。真っ当な家計あるいは事業者であれば節電によって電気料金の伸びを抑えるはずだ。消費税増税にしても税率を上げれば税収増になると信じているわけだ。経済が縮小してしまえば目論見は崩れることになる。

真っ当な事業者が増収を狙うなら経費削減と売り上げを増やす努力をするだろう。東京電力は経費削減努力が足らないし、売り上げを伸ばそうにも原発再稼働に難がある。解決策は発送電分離による競争の導入か。倒産させるのは原発事故の賠償債務も踏み倒すことになるのでNGだ。あくまでも東京電力ユーザーで負担すべきものだ。国費投入は受益者ではない首都圏以外の国民に負担させることを意味する。国が資本注入することで「実質国有化」と言われているが、「実質」がとれてしまうとコスト意識が無くなって膨大な国民負担のみが残されることになるので、下の下である。日本航空がリストラで再生できたのも「実質国有化」の「実質」がとれる前に黒字を出せるようになったためだ。

消費税増税も然り。消費が拡大すれば自然増収になる。所得税や法人税を考えても景気拡大すれば増収になる。その振れ幅たるや10兆円以上で消費税5%分に相当する。円高やデフレへの解決に日銀がお手上げなら(金融緩和しても日銀当座が積み上がるなんて泣き言も昨日あたりのニュース)、いっそのこと我が同僚の高橋洋一教に舵取りを任せてみれば良い。バーナンキFRB議長と連絡を取りながらうまくやってくれそうな期待がある。