大学関係者は間違いようがないと思ったら、(現行では就労ビザが出ない)留学生比率の低い学部や専攻があるので、一般レベルの理解にとどまっている方がいます。一般レベルの理解とは、中国や東南アジアからの留学生は経済的に困窮しているので学費・生活費を稼ぐためにアルバイト三昧で、日本語もたどたどしく、ファッションなど見た目で見分けがつく、というものです。
自分の学生時代を思い返すと、参考書を買って書かなければならないレポートを同級生の留学生から請け負って、その参考書をもらう、なんてことをしていました。彼は学費・生活費を稼ぐため、大学よりもアルバイト先にいた時間の方が長かったかもしれません。そんな彼も卒業と同時に帰国して、地元政府の商務部に勤めたと噂に聞きました。
現在でも苦学生の留学生はいますし、ベトナムからの留学生の多くが20年前の中国人留学生と同じような生活をしています。しかし、富裕層かつ文化的にも洗練された留学生が増えています。親御さんの教育投資のおかげで日本語も流ちょうですし、ファッションはInstagram万歳!というかとてもおしゃれです。社会科学系学部の女子学生は比較的地味なファッションが多いのですが、留学生に関しては少し浮いて見えるくらいのファッションも珍しくありません。繁華街では完全に周囲に同化するでしょう。
つまり一般レベルの理解では、外国人留学生だと認識できない留学生が街中を歩いているのです。
日本趣味が高じて留学した学生は、日本企業への就職にも積極的です。ただし、現行の就労ビザが業務を限定することと、新卒採用選考の時点で転職可能性を否定しないことで、就職先が決まらずに帰国する卒業生もいます。転職可能性とは、建前として終身雇用の日本企業にとって「3年くらい業務経験を積みたい」と正直に答える留学生を採用することをためらうのです。いまや日本人の新卒採用組も3年ぐらいで辞めるのに。
前回書いたように、日本は高等教育を受けた外国人材が日本の労働動力不足を補ってくれることを期待して「留学生30万人計画」をたてました。富裕層の留学生に、日本企業への就職を最初から考えていない層が増えています。親に就職したと報告したら仕送りが止められてしまうので生活できませんと理由を教えてくれます。日本の初任給って20万円じゃないですか?親からの仕送りは毎月50万円なんですと。(>_<)
これだけお小遣いをもらうと、ろくな遊びを覚えません!(断言)
富裕層の留学生は、親が母国で就職を斡旋してくれます。親が社長を務めている会社に「部長」「課長」で入社する例もありますが、親が元気な内は出番はありませんし、業務を覚える機会を失ってしまいます。よく考えている親は「他人の釜の飯」を食べさせようと、同業の知り合いの会社に預けたりします。日本でも企業経営者の子弟が修行する話はよく聞きます。
日本企業へ就職した外国人卒業生でも続かないケースがあります。日本人社員と同じように扱ったがために退社してしまうので、日本企業側が扱い方を変えるか、外国人社員の採用をあきらめるか、どちらかしかありません。特に、メーカー総合職の研修やジョブローテーションの一環で工場勤務など生産現場に配置したり、地方に転勤したりは鬼門です。