保育所の選び方(2)

「保育所の選び方(1)」では、親の利便性、習い事は客寄せであって良い保育所とは限らないと書きました。じっくり見学して非認知能力を開発することを意識した保育を行っているか、記録を見せてもらったり、利用者に話を聞くなどの情報収集するよう勧めました。利用者目線の保育所の選び方も大事なのですが、今回は、私が保育所の運営事業者を精査するときの観点を紹介します。

財務状況及び経営体制

安定的かつ継続的に保育所を運営してもらうためには、財務基盤がしっかりしていて、経営体制としてもチェック機能の働く組織であることが求められます。大前提としては、債務超過で無いこと、不審な借り入れや資金運用が無いこと、そしてキャッシュフローがしっかりしていることが財務の条件となります。川崎市などでは複数の公認会計士さんが財務状況について精査しているので、決算書の書きぶりまでもがコメントや指摘の対象になります。門前の小僧状態ですが、決算書というのは緩いのもしっかりしているのもあるのだなと知らされます。

政府が直接的に運営費を出す「企業主導型保育所」は、地方自治体に任せていたのでは待機児童解消はおぼつかないと始まった事業です。一部の企業主導型保育所では、保育支給与遅配が発生したことで退職につながり、運営継続が困難になったケースも報じられています。地方自治体の認可保育所運営費よりも運営費支給スケジュールが遅いためにキャッシュフローが続かなくなったと見られています。

保育所新設案件だと、初期投資の資金計画や開設後の収支計画を出してもらっています。当然のように保育士人件費が毎年処遇改善(この場合は定期昇給)されているか、定員充足率と人頭払いの運営費収入についてどのように目論んでいるかを確認します。新設保育所は3~5歳児クラスは定員が空いて当然なので、臨時定員を設けて0~2歳児を受け入れる予定があるかなども確認します。少しでも保育士さんを有効活用して待機児童解消したいですから。

経営体制としては、ワンマンでないことに尽きます。オーナー社長や理事長のワンマン独善的な意思決定ですべてが進むのは悪夢です。役員によるチェック機能や、現場と経営陣とのコミュニケーションがしっかりとれていて、正しい進路を目指すのが望ましい姿です。例えば、理事会議事録、取締役会議事録で保育所運営や新設案件が十分に審議されているかを確かめるだけでも、経営体制のあり方はうかがい知ることができます。ここに一切審議された形跡が無かったり、形式的な記述しか残っていなければ、突っ込みどころ多しということです。