待機児童解消のマイルストーン(6)

待機児童解消とその後
政府は250万人分の保育所定員を確保すれば、待機児童が解消するという見通しを立てていました。ところが未だに待機児童は解消できていません。潜在的な保育サービス需要が次々に顕在化している状況では、明確に待機児童解消の時期は見通しにくいと考えます。

政令指定都市・新潟市のようにほぼ待機児童を解消できている自治体があります。新潟市は保育所定員を増やす施策を続けて、就学前人口の約50%に相当する定員を確保しています。保育所を利用せず3歳以降に幼稚園を利用するケース、3歳未満で家庭保育するケースなどがあり、就学前人口の半数に見合う保育所整備ができれば目標を達成できる可能性があります。

少子化が進行しているのは事実で、都市部のみ保育サービス需要が増えている現状があります。都市部の保育士不足が理由で、地方出身の保育士が地元を離れて都市部で就労することが増えています。家賃補助など誘導する施策も後押ししています。幼稚園と保育所で人材の奪い合いにもなっています。2019年度からの幼児教育・保育の無償化の実施は、都市部の保育所不足を強めてしまうのではないかと懸念しています。

待機児童が解消し、保育サービス供給が余る時代の撤退計画も検討を始めるべきでしょう。既に地方では最後の拠点としての幼保連携型認定こども園が出てきています。都市部自治体では認定こども園を積極的に誘致する姿勢が見られません。その立地に認可保育所を整備した方が、待機児童解消に役立つからです。新たに整備する保育所は、高齢者向けのサービスに転用できるか、その他の活用法を予め想定しておくと過剰な公共投資にならずに済むと考えます。

(このシリーズ終)