待機児童解消のマイルストーン(4)

自治体は保育所を増やしていないのか?
2010~2014年は待機児童が減少していたのに、2015年以降は待機児童が増加しました。2018年4月の待機児童は少し減少して一息つきました。この間、政府は「待機児童解消加速化プラン」という保育所を増やそうとする自治体を支援する取り組みを行ってきて、本来なら待機児童が解消している見込みでしたが、需要の伸びの方が大きくて解消には至っていません。

保育所定員は全国で280万人分が確保されています。利用している児童数は261万人です。この数字だけみれば、足りてるように思うかもしれませんが、地域差があります。自宅周辺や通勤できる範囲に保育所が無ければ利用することはできません。

義務教育の小学校が定員超過での待機者を出さない一方で、保育所はなぜ待機児童が発生するのでしょうか。小学校は満6歳になる世代の人口を生まれてから予測することができるのに対して、0歳や1歳で利用申請することの多い保育所は対応が間に合わないという違いがあります。

待機児童数は、利用申請者に対して保育所定員の差分として表面化します。例えば前年度の待機児童数が100人だった地方自治体が、100人定員の保育所を新設したとしても一般的には待機児童解消には至りません。4歳、5歳で待機児童になることはまれで、0~2歳の時点で待機児童になることと、100人定員の年齢別の内訳では0~2歳児は40人程度しか設定できないからです。さらに翌年度になってみると利用申請者数が倍増することも珍しくありません。近隣に保育所が新設されると、潜在的な保育サービス需要を掘り起こしてしまうためです。

地方自治体は実績と需要との差分である待機児童数が施策のベンチマークになっていることに不満を持っています。国に全国集計されてワーストランキングが公表されることで,近隣自治体とどちらが予算を注ぎ込んだかの競争をさせられてしまうからです。