幼保無償化、半年は全額国費

2019年10月に予定されている幼児教育・保育の無償化(3~5歳)について、年度途中からの開始になることや国と地方自治体の財源負担割合が決着していないことから、10~翌3月の半年については全額国費によって賄うことが報じられています。

幼保無償化、半年は全額国費 来年10月開始
 政府は九日、来年十月から始める幼児教育・保育の無償化について、翌年三月までの半年間の費用は全額国費で賄う方針を固めた。制度変更に伴う事務経費も国が負担する方向で調整している。二〇二〇年度以降は、都道府県や市町村にも支出を求める。国と地方の負担割合は決まっておらず、焦点になっており、年内に決める予定。
(中略)
 無償化は、消費税率10%への引き上げに伴う税収増加分が財源。うち30%は地方に配分される上、既に自主財源で部分的な無償化を進めている自治体も多いことから、政府は地方にも負担を求める方向で調整してきた。無償化にかかる費用は年間約八千億円と見込まれる。
(中略)
 二〇年度以降の費用については、国が二分の一、都道府県と市町村が四分の一ずつ負担する案や、三者が三分の一ずつ出し合う案などを軸に検討している。

中日新聞 2018年11月10日 朝刊
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018111002000118.html

地方自治体では来年度予算の編成作業が始まっています。幼児教育・保育の無償化については、自治体主導というよりも2017年総選挙での与党公約という政治主導で決まった訳で、降って湧いた話なのです。国が決めたから一方的に地方自治体にやれと指示するのは地方分権に反します。とりあえず、国と地方の負担割合について棚上げするための半年全額国費という決着になりました。

保育所運営費については、税源移譲や地方交付税化によって国から地方への国庫支出金(補助金)というルートは無くなりました。保育料を自治体持ち出しによって減免していたところは、国基準の保育料無償化分の地方交付税措置によって財源増になるかもしれません。一方で、戦々恐々なのは不交付団体や特別区です。地方交付税措置ということは、不交付団体には新たな財源が措置されないことを意味します。多くは都市部の自治体なので、税収は豊かと思われがちですが、待機児童解消などに財政を振り向けているのも都市部の自治体です。保育料無償化財源も自前で確保しろと言われると困ってしまいます。

半年という猶予、検討期間ができたわけですから、国主導で始めた幼児教育・保育の無償化だということと、どこに住んでいる子どもにも幼児教育を保障するという前提を踏まえた、財源措置が求められると考えます。