認可外保育施設は無償化対象外?

全国市長会は保育の崩壊を懸念して、幼児教育・保育無償化の財源を国費負担とすることと認可外保育施設(無認可保育園)の無償化に待ったをかけることを要求しています。政府は、2019年10月からの半年間の全額国費負担と、認可外保育施設について条例制定により無償化対象外にできる案を示しました。認可保育所に入っていないと保育料が無料にならないのでしょうか?


来年10月からの幼児教育・保育無償化を巡り、政府は3日、保育士数などの基準を満たさない認可外施設を市町村の条例で無償化の対象外にできるとする案を、全国市長会などに示した。

毎日新聞(2018年12月4日)幼児教育・保育無償化 基準満たさぬ認可外施設 条例で対象外可能案

認可外保育施設というのは、とても範囲が広い定義です。認可保育所以外は全部入ってしまいます。一つの基準を設けるとすれば、地方自治体の補助金が入っていて、その保育施設を利用していると待機児童のカウントから外れる保育所があります。東京都認証保育所、川崎認定保育園、そして横浜保育室といったところが相当します。補助を受けるためには、認可保育所か、それに準ずる基準を満たしています。

一方で、補助金を受けずに完全に利用者負担のみで運営している認可外保育施設があります。私が見聞きした範囲では、保育士有資格者が職員に一人もいない(幼稚園教諭、看護師がいた)施設や、狭い部屋に多人数の子どもを詰め込んでいるといった施設もありました。明らかに子どもの発達にとって望ましくない保育環境の施設にまで保育料無償化するのはおかしなことです。

今回、政府が条例制定で無償化対象外にできることを示したのは、元々の方針では5年間の猶予期間を設けて、基準に満たない認可外保育施設まで無償化対象にするのが原則になっていたことへのクレームがついていたためです。指導監査しなければならない手間も含めて、地方自治体は国が勝手に決めたことにこれほどの負担を押しつけられるのか?と不満を抱えています。

保育料が無料になるのが認可保育所とそれに準ずる保育施設のみになれば、待機児童が増えてしまう懸念があります。現在、基準を満たさない認可外保育施設を利用している層とはどんな人でしょうか?それは、認可保育所に入るのにはフルタイム共働きの点数が必要になるのに対して、パート勤務などで点数が足らない方々です。このような方々の受け皿を無償化しないのはおかしいと声を上げる前に、地方自治体には認可保育所をしっかり整備することを求めるのが正道です。